フェアであるという事

もう30年も前の事になるが、仕事で1年間ロンドン
シップブローカーの事務所に出向していた事がある。
入社2年目という多感な時期に異文化圏で、それも英国人やフィリピン人、
韓国人と机を並べて仕事ができた事は本当に貴重な経験であり、
行かせてくれた会社、上司には遅ればせながら感謝、感謝である。

ロンドンは今も海運業の中心都市であり、バルチック海運取引所(Baltic Exchange)
というブローカーが情報交換する、由緒正しき集会所が有り、
ブローカーのステータスは日本とは比べ物にならないほど高く、
彼らは自分たちの職業に誇りを持っている。
そのブローカーから教わった事で今も心に刻まれている事は、
「フェアであれ」ということである。

彼らが商談をする時にこの「フェア」という言葉が頻繁に使われ、
ブローカーとして「フェア」な取引を仲立ちし、当事者全てがハッピーになる事で
彼らの「ジェントルマン」としての自己実現がなされて行くように感じた。
「フェアネス」とは何かと聞かれれば、それは生きる為のルールであり、
「フェア」である事は自分自身との契りだと思う。

しかし、自分も含め人間とは弱いものであり、
時に奇妙な「力関係」を振りかざし、アンフェアな振舞いをしてしまうことがある。
力関係の優位を得る事により、アンフェアが許されると錯覚してしまうのだ。

フェアであることで、人は人に対して優しくなり、思いやりを持てるようになれる。
そして相手のやる気や善意を引き出す事もできる。
我々も「フェア」な仕事を通じて、お客様との良好な関係を築き上げたいと思う。
英国で学んだジェントルマンシップが富山県トラックの企業風土となる為に。

 

吉澤 比佐志

 

現在は超高層ビルが建つ

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