坂東眞理子さんのお話
先日富山県出身で現在昭和女子大学の学長をされている坂東眞理子さんの
講演を聞いてきた。
坂東さんは富山市の立山町のご出身で東京大学をご卒業後、
総理府に入られ埼玉県副知事やオーストラリア連邦ブリスベーン総領事等を
歴任された方で、
300万部を超える大ベストセラーとなった「女性の品格」
の著者である。
演題は「親が育てるグローバル人材」、小学校の保護者向けの
内容だったが、示唆に富んだ素晴らしい講演だった。
その中で印象に残ったのは、
坂東さんが学長という仕事を通じて、今の若者は夢を描けず「内向き」「下向き」「後ろ向き」になっているのではないかと感じる事があるということだ。
その一例と
して、ハーバード大学の学部で学ぶ日本人が今年は1人しか入ってこなかった事を
あげられた。
1980年ごろは70-80人だったそうで、正に激減である。
不景気の
影響で企業から派遣される人間が減った事もあるが、それだけではないだろう。
若者が「内向き」「下向き」「後ろ向き」になっているのだ。
日本は戦後の経済成長で世界中の注目を浴びた。
そして人々は豊かになり、それが
いつまでも続いてほしいと思うようになった。
現状維持である。
その結果、自分たちの
既得権益にしがみつき自分だけが良ければいいという人が増えた。
坂東さんの言葉を
借りれば、「鎖国」状態である。
そこに大地震が起きた。
大変不幸な出来事ではあるが日本が大きく変われるチャンスだ。
しかし現実はどうだろう?
問題解決にあたる当事者には、「自分たちは何も変えたくない」事が方針決定の根底にあるにように映る。
それどころか、苦しんでいる仲間を助けようともしない。
日本は羅針盤を失った船のように漂流を続けている。
一方アジアの隣国は
青少年のグローバル人材化に政府が真剣に取り組んでいるそうだ。
何もせずに「現状維持」等あり得ない。
本気でグローバルな活躍ができる人材を
育てなければ、日本の真の開国などあり得ないと思う。
多くの国難を乗り切った過去の
日本人と今の日本人の資質は全く違うという認識が必要である。「内向き」「下向き」
「後ろ向き」な人材に新しい日本の建設など望むべくもない。
自分も若い人たちが
「外向き」「上向き」「前向き」になるよう微力ながら、支援したい。
吉澤 比佐志