危機に備える
今年に入り日本列島は強い寒波に襲われ、厳しい寒さと
降雪が続いている。
東日本大震災を被災され防寒対策の不充分さが懸念される仮設住宅で生活をされている方々はどうしておられるか気にかかる。
この度の大震災の特徴は
大規模な津波の発生で、それによってたくさんの人が
命と住む家を失ったことだ。
しかし、それははじめて日本を
襲ったわけではなく、たかだか百年の間にその記憶が
風化して行ったにすぎない。
先日ある本で、岩手県の普代村は15.5メートルの防潮堤と水門が有ったため、
死者も住宅の
被害も全く無かった事を知った。
ネットで検索してみると、
驚いた事にこれに関する報道が大変少ない。
Youtubeに投稿
された報道番組を見ると、
大学教授はこんなものは作るのも維持するのも大変なので、一概にいいとは言えない
と述べ、
コメンテーターは有ると安心して逃げないから無いと方が
いいと言っていた。
当の普代村でも建設に関しては、喧々諤々あったようだが、当時の村長が、
過去に2度の15メートルの
津波の襲来で多くの村民を失った教訓から、
反対する県や議会を
粘り強く説得して建設に漕ぎつけたという。
今、難を逃れた村民は
村長の墓を訪れ手を合わせている。
防潮堤があって本当に良かったと感じていると思うし、
仮設住宅におられる人達は
「おらが村にもあったなら」と思っておられるだろう。
今回の震災の反省点は、当事者が災害に対して希望的観測で対策を立てていた事にあると思う。
事業仕訳などを見ていると
よくわかる。
しかし、経営における危機管理はそれではいけないと思う。
もし、大恐慌が起きたらその時考えましょう、いやそんなものは起きるわけはないではだめなのである。
常に最悪の
シナリオを想定し、それでも被害が最小になるよう常に準備して
いなければならない。
悪い事はいつ起きるかわからず、起きると
それが重ねて起こるのが常だからである。
経営には高すぎると
思われる防潮堤が必要なのである。
吉澤 比佐志