親孝行

新卒採用の面接をしている時に、県外からUターンを考えている学生に、何故富山に戻りたいのかと聞くと、「富山に戻って親を安心させたい」とか「親孝行をしたい」という答えが返ってくる事が有る。これが果たして本音なのか、それとも面接のための模範解答なのか、正直のところ分からない。確かに答えとしては想定内なのだが、彼らの親はだいたい50才台前後の、元気バリバリな人達ではないかと思う。彼らが考える親孝行とは、具体的に何を指すのだろうか?親と一緒に住むことで、親が安心するのだろうか?一緒に旅行に行ったり、食事に行ったりすることが親を喜ばせることになるのだろうか?確かに、それを親孝行と感じる親がいることも事実だと思う。親の喜ぶことをして、親の期待に応える事が、親孝行と感じている子供もいるだろう。

親子の関係は家族によって違いが有ると思う。しかしそれは年齢とともに成熟しお互いが子離れ、親離れをして行くものだろう。子供は自分の将来に関しては、親の価値観に影響されることなく、自分の道を切り開いて行くべきだし、親は自立した子供を見守り、自分自身の人生を生きていかなければならない。子供が自立しても20年近くは自分個人の人生がある。孫の成長や昔話ばかりが楽しみになっては寂しいというものだ。親孝行で与えられることを期待せずに、自分の人生を謳歌してほしい。いずれ、嫌でも年老い子供の世話になる時が来る。親孝行はそれからでも遅くない。

富山の企業にとって、Uターンをしてくる学生は宝物である。親元を離れて生活したことは、得難い経験だ。だからその経験を活かし、自分のやりたいことを見つけて欲しい。
富山には頑張っている企業もたくさんある。是非後悔しない会社選びをして欲しいと思う。

 

吉澤 比佐志

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