判断力について

自分の人生を振り返ってみると、現在の自分が置かれている状況は、これまで様々な場面で繰り返し行ってきた「判断」の結果であるといえる。その判断が正しいものであったかどうかと言えば、必ずしも正しいものばかりではなく、多くの失敗も経験した。また、未だに答えの出ていない判断もある。失敗していないのだから間違いではない無いとも言えるが、ほかの選択肢があった場合は、そちらの方が正しかったかもしれないと思う事もしばしばある。判断というのは言うまでもなく大変難しいものである。

そもそも人はどのように判断力を身に着けていくのだろうか?まず最初に来るのは、親の躾である。親からインプットされた様々な情報を通して、子供はものごとの良し悪しを知り、判断することを覚え、成功や失敗を繰り返しながら自分なりの判断力を身に付けていく。
そして次に学校教育により多くの知識を得て選択肢を広げ、社会生活や友人とのコミュニケーションを通して経験を積み、より良い判断ができるようになる。また迷った時に相談する専門知識を持った友人や経験豊富な年長者の存在も判断の重要な要素となる。

自分自身の経験を顧みて思うことは、自分で考え自分で判断したことについては、たとえ間違っていても問題点に真剣に向かい合い解決し、良い結果を導き出すことが出来たように思う。勿論すべて自分ひとりの力で解決したのではなく、親身になって考えてくれ、知恵を授けてくれた先輩が居たことや仲間のアドバイスにより救われたことも多々あった。一方周囲の反応や世間体を気にして下した判断や親の意向に影響された判断は、それが重要度の高い判断であればあるほど、後々強い葛藤を抱く結果になったように思う。それは失敗した時の逃げ道を用意した決断であり、達成に向けた責任感が欠如していた為の失敗である。

判断力というのは、人が生きて行く上で欠くことのできない能力である。ではそれを育てるために重要なことは何か?それは自分で考え、自分で決め、その結果を受け入れ、その責任を取るという事だと思う。最近の若い人を見ていると、考える事と決める事が苦手な人が多いように思われる。ひとつひとつ指示やアドバイスをしなければ、行動を起こせない。成功願望がないわけではないが、自分で考えた結果で失敗するリスクは取りたくないという、優柔不断型が多い。生きるたくましさが欠如している。これに関しては、親の影響が少なからずあるのではないかと思う。子供に考える事をさせずに、結果をすぐ与える事が愛情だと勘違いしているからではなかろうか?

優れた判断力を身に付けている人は、人を引き付ける魅力がある。言い換えれば、リーダーシップがあり、人間力が高いという事であり、世の中に必要とされる存在である。そのような人材を育成する為にも、企業として誇れる仕事をし、社員一人一人が自立した存在となれるよう、支えていきたいと思う。

 

吉澤 比佐志

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