ユニクロのICタグ導入に思う

先日ユニクロで買い物をし、レジで支払いをした時に店員が商品をカウンターの上に置くだけで精算が完了したので、バーコードリーダーは無くなったのかと聞くと、「はいICタグに変わりました。」と親切に教えてくれた。もうICタグはここまで普及しているのだと実感した同時に、ユニクロのアクションの速さに驚いた。そこで詳しく調べてみると、昨年の11月6日の日経電子版ですでに発表されていた。

柳井正会長兼社長が明らかにしたところによれば、国内外で約2000店を展開するユニクロを含め全3000店でICタグを利用するとのこと。1年以内をメドに導入し、初期投資は数百億円規模。ICタグは無線で自動的に情報を読み取り、数量やサイズ、色といった細かなデータを瞬時に集める。人手の操作が必要なバーコードと比べ作業時間を短縮できる。先行して全商品にICタグを導入した傘下のジーユーでは、国内店舗の約半数にあたる176店(8月末時点)でセルフレジを導入した。精算時間を最短で通常のレジの3分の1まで短縮し、レジの担当者を減らして店内での接客を拡充。ユニクロでもセルフレジを早期に導入する計画だそうだ。

店内では、いつ来店者が商品を手に取り、その商品が売れたか、棚に戻されたかといった情報も得られる。従来のPOS(販売時点情報管理)よりも高い精度で分析し、人工知能(AI)も駆使して売れ行きや在庫量を把握。素早い増産や欠品の防止につなげる。また、衣料品のネット通販の拡大について、柳井氏は同社もネット販売を強化する一方、「顧客にとって便利な店は生き残る」とする。店員が顧客に接する強みがあり、世界3000カ所の店舗の効率とサービスを一斉に向上させてアマゾンなどの通販に対抗するとのことだ。

発表が昨年の11月なので、恐らく現在かなりの店舗で稼働しているに違いない。この改革を数百億円かけて、僅か1年間で3000店舗に実施する、決断力、行動力がまさにユニクロの強みだと思う。恐らく柳井さんにとっては当たり前なのだろう。ICタグの普及は今後更に加速すると思われる。そして、我々の物流業界に大きな変革をもたらすのは言うまでもない。人材不足が深刻な今、ICタグのみならず、生産性改善の選択肢はたくさんある。会社としての探求心と判断力、実行力が問われている。

 

吉澤 比佐志

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