2024年問題について
2024年問題とは2024年4月から働き方改革関連法によって自動車運転業務の時間外労働時間に上限規制が設けられることで発生するさまざまな問題のことである。これについては、最近マスコミで頻繁に取り上げられるようになり、注目度も高まっている。
この改正により、ドライバーの拘束時間が年間3516時間から原則3300時間に見直しされ、その結果運送の供給量が大幅に減少する事が予測される。加えて高齢者ドライバーを多く抱えた運輸業界は、ドライバー不足に拍車がかかっており、NX総合研究所(旧日通総研)の試算では2030年には輸送能力の34.1%が不足すると推計されている。
1年後にはこの改善基準に従って業務を遂行しなくてはいけない運輸業界ではあるが、これをクリアするには様々な課題が有る。先ずは拘束時間をいかに抑えるかであるが、富山県トラックでは荷物を積載中のトラックはほぼ全て高速道路を運行している。これは2024年問題を見据えて実行したものであり、これ以上の時短は望めない。
現状で最も効果的な時間短縮は、荷待ちと付帯作業の廃止である。これには荷主企業との調整が必要である。様々な事情で、荷主がトラックを待機させ付帯作業を依頼する場合が有る。これは、過去運輸業界が仕事を確保するために無償で行ってきた為、荷主サイドから見ればこの廃止は多少の違和感が有ると思うが、早急な実行が必要である。
加えてドライバーの給与の問題だ。労働時間が抑えられれば、運送会社の売上が減少する事は避けられない。しかし、ただでさえドライバーのなり手がない現状では、これらの改正がドライバーの給与に与える影響を最小限に留めなければ、彼らは他業界に転職して予想を超えた輸送能力の不足につながり兼ねない。
ヤマト運輸は2024年問題を見据え、これまで翌日配送を行っていた一部地域を見直し、翌々日配送にすると発表した。日本郵便は土曜配達をやめ、配送日数も繰り下げを行っている。ここは荷主と運送業者が、win-winの関係を構築できるよう協力して問題を解決しなくてはならないと思う。残された時間は限りなく短い。
吉澤 比佐志