軽油価格上昇に思う
今年に入って、軽油価格がかなりの上昇を続けている。 ひと昔前の 価格が安定していた頃に比べると、リッター当たりで50円高い。 長距離の大型トラックで、コストの増加を考えてみると、 仮に 月間走行距離が8,000kmで、 燃費がリッター当たり3.5kmと仮定すると 燃料使用量は約2,300Lとなり、 経費が115,000円/月上昇 した事になる。 経費全体が10%上昇したと言っていい。 大型トラックを 100台保有している企業なら、年間1億3800万円のコスト増となる。 これを吸収するのは並大抵のことではない。 実際に倒産や廃業に 追い込まれた同業者は多くいるし、今後更なる価格上昇が懸念され、皆戦々恐々としている。 トラック協会では荷主に対して、サーチャージの要請をするようにと指導しているが、運送業者の足並みがそろっていない事も事実だ。 勿論、必要に応じて荷主企業の方たちとは、是々非々の 話し合いが必要だと考えている。 しかし、ここで見過ごすことができないのは、何故上がるのかという事だ。 価格の変動の原因は中東情勢でも、需給でもなく、過剰流動性による マネーゲームによるものだと言って過言ではない。 行き場を失った金が投機 に向かい金や商品の価格を押し上げている。そのつけを払わされているのが、我々だと思うと、何ともやりきれない。 必死の思いで支払った燃料費は投機の世界で泡の様に消えて行く。 かつて、軽油価格の変動は湾岸戦争 などの有事に限定されており、経営者にとって収益を考える場合は比較的固定的にみる事ができたが、 今は輸出企業の為替のように、評価の見誤りが命取りになる。 車さえ持っていれば稼ぐ事の出来た時代から見たら、隔世の感が有る。 しかし、この状況も永遠に続くわけではない。 悲観論の中では何も生まれないのだ。 どんなに厳しい時代でも、お客様に必要とされる会社になればいい。 そこに希望の光が有る。 そして、県トラはいつもそれを 目指して行動している。