新幹線開業のカウントダウン始まる
北陸新幹線の開業が来年の3月14日(土)に決定した。すでに開業まで半年を切っており、県内では開業までの日数が表示されカウントダウンが始まった。
昭和48年に計画が発表されてから、紆余曲折を経ての悲願の開通である。県では100年に一度のチャンスと捉え少しでも多くの人に富山を知ってもらい、訪問して欲しいと考え、対策を練っている。報道機関では連日新幹線の話題が出ないことは無い。
では、当の県民は新幹線に対しどのように捉えているのだろうか?
先日弊社の若手向けの勉強会である「県トラ塾」で新幹線の開通について話し合ってみた。先ず最初に次の質問をした。
「新幹線の開業日はいつ?」
「速達タイプの車両の名称は?」
「その停車駅は?」
「東京から富山までの所要時間は?」
「速達タイプは1日何本走る?」である。
驚いたことに、これに完璧に答えられる者はおらず、正解率も半分以下であった。そのような状況なので、「新幹線でどこに行ってみたいか?」という質問に対しても殆ど具体的な地名は上がらなかった。
つまり、新幹線の開通はそれ程彼らの生活に大きな影響を与えず、あまり関心を持って捉えていないという事である。確かに今の彼らのライフスタイルの中では、首都圏に遊びに行く事はさほど重要な選択肢では無いのかもしれない。それはそれでいいのだが、同時にその新幹線に乗ってこれまで以上に多くの人が富山にやってくるという事に対しても、殆ど自覚が無い。
そこで次にこんな質問をしてみた。「もし友達が富山に来て、半日フリーなのでどこに行けばいいかと聞かれた場合、どこを薦めるか?」。
そこで「半日あるなら電車で金沢に行く事を薦めます。」との答えが出て大笑いになったが、「環水公園には世界一美しいスタバがあるので、そこでゆっくりしてもらいます」や「ライトレールで岩瀬の町に行ってもらいます。」等の意見がいろいろ出るうちに、皆の意識が徐々に高まり、塾の後に提出してもらう感想文の中に「もっと富山の良いところを調べて紹介できるようにします。」という内容が多く見られた。
結果として、彼らに少しでも新幹線に関心をもってもらえた事が嬉しかった。新幹線が開通したからといって、富山の観光資源が増える訳では無く、観光都市金沢と比べれば街の魅力は劣る。ただ、不器用ながら富山県人は情に篤く、それに加えて富山には旨い酒と肴がある。一人一人の富山県人がおもてなしの心を持って富山の魅力をアピールできれば、それが観光資源になり多くの人に訪れてもらえる街になると思う。
街の魅力はハードでは無くハートである。
(新幹線の速達タイプの名称は「かがやき」停車駅は上野・大宮・長野・富山・金沢で1日10往復の運行 富山・東京間を2時間8分で結ぶ)
吉澤 比佐志