運賃・料金の収受ルールの変更について

平成29年11月4日より、標準貨物自動車運送約款の一部改正が実施された。これにより、今まで「運賃」として支払われた対価は運送に係るものだけであり、今後は運送以外に行っている「付帯業務」「積込み・荷卸し」「荷待ち時間」には料金を設定し、荷主は運送業者に支払う事が必要となった。この料金に関して、運送業者は約款に設定し、営業所に掲示しなければならない。本来の運賃契約は「車上渡し 車上卸し」が原則で、ドライバーは積込み荷卸しの作業は行わない事になっている。しかし、規制緩和による車輌の供給過剰により、「何でもやるから荷物を下さい」と営業した結果、ドライバーが、検品、積込み、荷卸しなどの付帯業務を無料で当たり前に行う事になった。加えて、積込み、荷卸しに係る荷待ちが長時間発生し、運転手は休息する時間もなく残業時間が過労死レベルになっており、政府の「働き方改革」によりメスが入る事になったものと推測される。

前述した通り、このような状況になった一因は運送業者にもある。しかし現在、ドライバーは慢性的に不足しており解消の糸口は全く見えない。平成26年度総務省「労働力調査」によるとトラックドライバーは約83万人である。このうち、55歳以上の就業者数は約35%、25歳未満の就業者数は約8%であり、ドライバーの減少を食い止めるためには、労働条件や待遇改善は待ったなしと言える。この状況を荷主の方々に理解し協力していただくため、我々はお願いを続けている。幸いほとんどが理解して下さるが、今までの仕組みを一挙に変える事は容易ではなく、今後は荷主企業と運送業者が話し合い、改善に努めなければならない。

昨今労働力不足の目玉としてモーダルシフトやAIが議論されているが、それらが短期間に成果を上げる事はないだろう。輸送方法や納期など、今の常識が未来の常識ではない事を痛感して、物流の仕組み自体の再構築を喫緊の課題と捉え、対策を行っていかなければならないと思う。

 

吉澤比佐志

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