東京オリンピックを振り返る
新型コロナに翻弄された東京オリンピックが無事終わった。当初の予定から1年遅れ、その上に無観客での開催となった。その是非については直前まで議論がなされ、開催中も反対運動が行われていた。しかし開催は正しい判解だったと、私は思っている。開催を境にコロナの流行が拡大したが、それはオリンピックのせいではなく、対策の失敗が原因だと思う。国民のオリンピックに対する関心はいつも通り高く、毎日テレビに釘付けになっていたのではないだろうか。競技者のがんばりで予想以上の好成績があげられたことを、ネガティブに捉えた人もそんなにはいないと思う。
開催の直前に、国民の大半が開催に否定的だったのは、「不確定要素が多く何が起こるか予測がつかないから、取り敢えずは先に延ばした方がいいのではないだろうか。」という気持ちからだったように思う。私も難しいのではと正直思っていた。しかし、オリンピックが終わってみると、心配したほどの問題はほとんど起こらなかった。読売新聞の世論調査では64%の人が開催してよかったと思っているとの事だ。
確かに今回のオリンピックはコロナの中でどんな問題が起こるか全く予測のつかない状況での開催であり、格段に厳しいリスクマネジメントが必要だったのは容易に想像できる。そんな中リスクが有るから開催を延期や中止するのではなく、関係者たちは「どうやって成功に導いて行くか」を必死に模索したと思う。開催を批判するのは誰でもできるが、リスクを徹底的につぶして、やり切った当事者たちこそ称賛されるべきだろうと私は思う。
我々の日々の仕事の中でも、同じようなことが起きている。仕事にリスクはつきものであり、リスクのない仕事などあり得ない。そしてその仕事には常に改善が求められており、改善のない仕事も仕事とは呼べない。しかし、何かと理由をつけてそこから逃げてはいないか。
困難に遭遇した時に、打つ手は無限にある。突破口は必ず見つかる。ところがそれに挑戦できる人は限りなく少ない。すぐに「出来ない理由」を語り、その正当性を主張するが、実は「リスクを取りたくない」「変えたくない」というのが本音だろう。このオリンピックを通して、日本人には何でも批判的になるのではなく、行動する大切さを学んで欲しいと切に思う。
吉澤 比佐志